司法書士めぐみ法務事務所の雑記帳

広島駅南口の司法書士事務所めぐみ法務事務所です。登記、法律、司法書士や広島を中心に中国地方関連の雑記です。

★不動産登記★相続を原因とする所有権一部移転ができず実務上困る場面

広島駅南口から徒歩5分の司法書士めぐみ法務事務所です。

本日の広島市内は朝からとても暖かいです。事務所には植物を置いているのですが、緑が濃くなってきたような気がしますね。

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さて、本日は改正民法から少し離れまして、不動産登記についてのお話です。
司法書士司法書士受験生向けの内容となりますので、ご了承ください。

相続を原因とする所有権一部移転登記はすることできない

「年月日相続」を原因として所有権の一部移転登記はできないとされています。
これは、相続を原因とするし所有権一部移転登記を認めてしまうと、登記上、被相続人と相続人の共有状態で登記されることになってしまい、実体法上あり得ない状態を公示することになるためです。

被相続人名義の不動産について,「相続」を登記原因とする所有権一部移転の登記を申請することはできない(昭30.10.15民甲2216号回答)。  

 この先例については、司法書士試験合格者やある程度勉強が進んだ受験生であればみたことがあるはずです。

登記実務上、この先例で困ってしまう事例とは?

受験時代は「そういうもんか」という程度で記憶していて、合格後は記憶の奥深くに眠っていたこの先例ですが、ある事案の見積もりと睨めっこしていたときに、ふと脳内から語りかけてきたのでした。その事案がこちらです。

かんたんにいうと、被相続人が敷地権化されていない区分マンションの部屋を2部屋所有していた場合の相続登記です。

下の図のように、敷地権化されていないので、土地は持分で所有しています。登記も2個に分かれています。「101の部屋の登記とそれに対応する土地持分」と及び「301の部屋の登記とそれに対応する土地持分」がセットになっているイメージです。
それぞれのセットは個別に売却される可能性がありましたので、当初は「101セット」の移転登記と「301セット」の移転登記を申請しようと考えていました。
しかしながら、何か引っかかるものがあって、少し考えこんでいたときに。上記先例が語りかけてきたのです。
先例(お久しぶりです。先例です。おぼえていらっしゃいますが…相続を原因として持分一部移転なんて申請したら恥ずかしいですよ…)
この声のおかげで、取下げや補正は免れることができたのですが、一つ困ったことがありました。 

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それは、土地の持分を「持分全部移転」で移転すると、土地の持分についての登記識別情報が持分2つに対して1通しか発行されない、ということです。
部屋の識別情報通知は別々の登記なので、2通発行されますが、部屋に対応する土地は1筆なので1通しか発行されません。なんとも不便。

これについて、ダメ元で法務局にも確認しましたが「仕方がない」との回答。仕方がないなら仕方がないので、お客様に丁寧に説明をして、さらには識別情報の注意書きとして「101と301で土地の識別情報は共通です!!!」と大きく表示した紙を挟み込みました。

 

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