司法書士めぐみ法務事務所の雑記帳

広島駅南口の司法書士事務所めぐみ法務事務所です。登記、法律、司法書士や広島を中心に中国地方関連の雑記です。

★改正民法★新設された配偶者居住権をざっくり解説!

本日は広島は快晴!土曜日ということもあり、事務所のロールカーテンの発注と傘立てを購入して、そのあとは散歩をして一日を終えました。
広島の街も約15年ぶりに散策すると知らないお店だらけです。
本日は広島パルコ近くのカフェ、プログレスさんでフルーツオープンサンドなるものをいただきました。アイスとフルーツたっぷりで脳と舌が満足いたしました。

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さて、本日も改正民法について書いてみます。

ややこしそうに見える配偶者居住権ですが…

相続で配偶者が現在の住まいを追い出されないようにするための改正です。
大きく分けて一時的な居住権の保護を図るための「短期」の配偶者居住権と、配偶者の終身まで継続する「長期」の配偶者居住権に分かれます。両者は要件こそ共通している部分はありますが、それぞれ別個のものといえます。この二つを分けて考えれば、配偶者居住権はそれほどややこしいものではありません。
なお、配偶者居住権は、施行時期が原則規定から少し遅れまして、2020年4月1日から施行とされています。

短期的に配偶者の居住権を保護するための方策
「配偶者短期居住権」(改正民法1037条~1041条)

相続が開始したことによって配偶者がすぐに居所を失うことがないようにするため、短期的に居住権を保護する制度です。
その要件は、次の通りです。

要件:

1、配偶者であること(ここでも内縁関係は含まれません)
2、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していること

次に時的な制限があります。ややわかりにくいです。
3、時的要件
(1)遺産分割する場合
遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日を経過していないこと

(2)それ以外の場合
居住建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者が配偶者短期居住権の消滅を申し入れた日から6か月を経過していないこと

 

(1)は、相続開始時から最低6ヶ月は居住権を保護します、もし遺産分割の確定が相続開始から6ヶ月経過後であればその確定日まで保護するということになります。
すなわち6ヶ月+α日は保護されるということです。
(2)については、物権の取得者から退去しろと言われてから6ヶ月は保護するということになります。

配偶者短期居住権が認められると、居住建物について無償で使用する権利を有するとされます。

長期的に配偶者の居住権を保護するための方策
「配偶者居住権」(新民法1028条~1036条)

登記に関してはこちらが関係してきます。長期的に配偶者の居住権を保護する制度です。
長期間の保護が認められているということは、第三者の権利との調整が必要になる場面が増えてくるということで、そのために登記をすることが認めれらています。

要件:

1、配偶者であること(内縁関係は含まれません)
2、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していること
ここまでは短期と同じです。

3、遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき又は配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき

 

遺産分割協議または遺贈等によって長期配偶者居住権が与えられることが確定したことが必要となります。
長期の配偶者居住権が認められた場合は、建物の全部ついて無償で使用及び収益する権利を取得します。
これは長期配偶者居住権という財産を取得したものとされるため、その財産的価値に相当する価額を相続したと扱われます。
また、長期の配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身とされており、非常に強力なものといえます。

また、その他の長期配偶者居住権の効力としては、対抗要件としての登記をすることが認められています(登記請求権が認められています)。
譲渡や第三者の使用収益については短期と同じです。第三者による適法な居住建物の使用又は収益については、承諾転貸に関する民法の規律(民法613条)が準用されます。

配偶者居住権の登記手続きについて


配偶者居住権の登記の関連条文

 

不動産登記法の一部改正)
第26条 不動産登記法(平成16年法律第123号)の一部を次のように改正する。

 第81条の次に次の一条を加える。
 (配偶者居住権の登記の登記事項)
第81条の2 配偶者居住権の登記の登記事項は、第59条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
 一 存続期間
 二 第三者に居住建物(民法第1028条第1項に規定する居住建物をいう。)の使用又は収益をさせることを許す旨の定めがあるときは、その定め

改正後民法
 (配偶者居住権の登記等)
第1031条 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。

 

存続期間と第三者の使用収益の特約が登記事項として加えられています。
存続期間は上記のとおり、配偶者の終身とされます。
ちなみに参考になりそうな先例がありましたので、引用しておきます。

「存続期間 賃借権者何某が死亡するまで」のような登記もできる(1963年(昭和38年)11月22日民甲3116号回答)

「存続期間 配偶者居住権者何某が死亡するまで」という登記になるのでしょうか。

 

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